倉山満『皇室論』。 明らかな事実誤認、支離滅裂、意味不明が多すぎる。 「えええ!? これはないでしょう」という珍説、 トンデモ論を展開している。 何回かにわけて主要な部分を取り上げていきたい。 今回はその1回目。 本書冒頭、「はじめに」からズレている。 倉山は、皇位継承問題を次のように記している。 悠仁さまが遭われた事件や事故に触れ、 「万一何か事があった時のための備えをする 皇族が必要なのですけれども、それが今のところ いらっしゃらないのでどうしたらよいのか、 というのが皇位継承問題の議論です。 神武天皇の伝説以来の日本の歴史を 悠仁殿下お一人が支えてくださっている。 では、どうするのか、何もしなくてもよいのかが、 皇位継承問題の要諦です」 ちがーーーーう。 これでは単に皇族のアタマ数の問題となってしまう。 そうではなく、「安定的な皇位継承のために どうすべきか」が、 文字どおり“皇位継承”問題の要諦だ。 悠仁さまのご誕生までは、 お生まれになるお子様は女子が続いてきた。 継承を男系男子に限定したままでは、 早晩続かなくなることは明らか (悠仁様に男児が生まれなければ終わり)。 その重責を悠仁さまと、悠仁さまのもとへ 嫁ぐ女性に負わせるのか。 自分の努力ではどうにもならない出産や性別を たった一人の女性に負わせるのか。 そもそも男系男子という縛りは側室制度と セットだから可能だった。 側室制度の復活があり得ない以上、 早急に見直さなくてはならない。 これが出発点だ。 倉山は続けて、小泉内閣での 「皇室典範に関する有識者会議」を紹介し、 このときの議論についてこう紹介している。 「一つは、母方にだけ天皇の血筋を持つ人物が 天皇になることを容認する、女系天皇容認論です。 古来、皇位は神武天皇から続く男系の血統の人物をもって 継がれてきました。女系天皇容認論は、 いっそもう日本の歴史を変えてしまおうという議論です」 どひゃー、曲解が過ぎる。 この有識者会議で議論されていたのは、 女子や女系皇族に継承資格を拡大することだ。 いうまでもなく皇位継承資格者の存在を安定的に確保するためである。 「いっそ日本の歴史を変えてしまえ」など、 誰も書いていないし思ってもいない。 どこがどうなったらそう読み取れるわけ? 思い込みが激しすぎて、まったく話にならない。 あえて会議の内容と自身の主張を ごっちゃにしているのなら悪質だ。 (つづく)
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